ちょっと仙台の選手が感情的になる場面が多く、それに乗っかるように見ている自分も冷静さを欠いてしまって現象があまり理解できずに試合が終わってしまったので、今回は試合を観返してから雑感を書きました。
時間の都合で80分過ぎまでしか観返せていませんが、メモをしながら観返したのでそれを記事の後ろにつけておきます。時間に余裕があってこれから観返すぞという方はこのメモと照らし合わせながら、「ここはそうだね」とか「ここの解釈は違うんじゃない?」とかを見てもらえればと思います。
さて、仙台は前節の清水戦では相手に嚙合わせるという意味もあってか5-4-1で並んでいましたが、今回は元の4-4-2に戻りました。前回対戦では特にボランチのところが人について行く傾向にあったため、後半から浦和はボランチ2枚を仙台のボランチ2枚の手前に置いて動きにくくしてしまって、その脇のスペースを武藤と小泉が使うことで打開を図りました。
しかし、今回の仙台の守備は非常にコンパクトに並んでいて、浦和はビルドアップ隊が2トップ周辺で3-1を作り、その前に5枚を各レーンに並べて、最前線にユンカーを置くという3-1-5-1のような並びで常に4-4-2の間に入るようにしていましたが、浦和の選手の動きについて行きすぎることなく、陣形を出来るだけキープすることが出来ていました。
特に加藤と関口の両SHは自分のラインを越える位置がスタートポジションになる西と明本の存在は気にしながらも、ハーフレーンから前進しようとする浦和のビルドアップ隊に対して前に出て行く体勢を取り続けました。
SHが開かずに我慢できているので仙台のブロックの内側にはほとんどスペースがなく、小泉がなかなか良い状態でボールを受けることが出来ず、ボールが入ってもすぐに潰しにかかることが出来たため、浦和としては中から進むのはかなり難しかったと思います。
中を閉めれば外は空くので浦和は外に開くSBとハーフレーンに絞るSHが打開のカギになってきます。外に開くSBは仙台の中盤ラインを越えるくらいの高さ、ハーフレーンに絞るSHは仙台のSHの背中あたりがスタートポジションになっていて、それによって仙台のSHはこの2人のどちらも簡単には管理できず、仙台のSBに対して2vs1を作りやすい状態でした。
ただ、浦和の方がこの2vs1を活かせる場面が多くなかったというのが、ちょっと手詰まり感のあった理由なのかなと思います。仙台のSHの背後を取る浦和のSBとSH、さらには小泉が手前のスペースを見ながら足元でボールを受けようとすることが多く、そうなると仙台のSBはハーフレーンにしろ外レーンにしろボールが出た方に向かって前に出て行けば良いと割り切って、浦和のアクションに対する後出しで対応することが出来ます。
16'15はデンに加藤が出て行こうとしている背後にハーフレーンには田中、外レーンには西という状態が作れていますが、この時にどちらもアクションを起こさないため石原も特に困らなかったり、22'20に槙野の脇に下りた敦樹がボールを持っている時に小泉も汰木も手前のスペースでボールを受けようとしてしまって窮屈な状態になってしまったりと、思うようにボールが前進できない場面がいくつかありました。
そのため、浦和のSBとSHは外か内かという2択に加えて、手前のスペースで足元で受けるのか裏のスペースへ抜け出して受けるのかという2択も組わせることで、より仙台のSBを惑わすことが出来ます。
15'34は田中が手前のスペースでボールを引き出そうとしたところに石原がついていったので西が裏のスペースへ走り出しています。この場面はデンが走り出した西を認知できておらずボールは出てきませんでしたが、24'10はハーフレーンの田中が手前のスペースを使おうとしたところに石原が食いついたので、CB間に下りた柴戸からその裏を取りに行った西へボールを出して、石原との2vs1の状況を活かして西のサポートをした田中からクロスを入れることが出来ています。
ハーフレーンにSHを絞らせるのであれば関根の方が器用に立ち回れるとは思いますが、相手の裏のスペースへ出て行くという狙いがあったのかもしれないことを考えると、外からではないにしても縦方向のスプリントはチーム随一の田中がここに起用された理由は納得できるかなと。
この構造の延長線上にあるのが、ボールが片側に寄っている時に逆サイドまで一気にボールを飛ばすと仙台の4バックに対して浦和が5レーンに人を配置出来ている分、逆サイドで2vs1になっていて大外の選手が空くという構図。5分の槙野から西まで大きく飛ばして、西がフリーな状態からユンカーにクロスを入れたのはその象徴的なシーンでした。
また、前半の飲水タイム、ハーフタイムと時間が進むごとに裏のスペースを狙う動きが増えてはいたので、このあたりはリカルドが指示を出したのかもしれませんが、SBとSHのところでアクションが起きない時にCBが運んだり、ボールを止めたりして逆に仙台の選手にアクションを強要するような場面を作れると、相手の動きを見てその逆を突いたり空いた場所を狙うことは出来たかもしれません。
「相手の動きを見ながら」というのが今年のスタイルの基本になるので、相手が動いてくれないと自分たちがどう動くべきかの判断が難しいのかもしれません。相手が動かない時には、いかに相手に1手目を出してもらうのかという仕掛けが出来たら良いですね。それがちょっとしたドリブルであったり、わざと自分たちも止まって相手が焦れて動くのを待ったりという方法になるのかなと思いますが。
67分に興梠が入って仙台陣内に押し込む時間が増えたのは、興梠が自らアクションを起こせるタイプの選手であることと、そのアクションが相手の裏のスペースへも向けられるということにあったと思います。スタートポジションが手前のスペースになる選手を1枚削って最前線から裏を狙う選手を入れたことによって、相手を押し下げた時に小泉に与えられるスペースは大きくなりましたし、相手を押し下げたことで仙台は中盤から前の選手が減って浦和が奪われてもすぐに奪い返すという構図が出来ました。ユンカーが入ってきたとしても興梠のキャラクターは浦和には大切な存在だと改めて感じます。
こうして、チームとしての狙いがあってそれを活かせた場面もあって、大きな決定機が何度かあったので、それを決められなければ勝ち点は3にはならないよねということだと思いますし、内容自体は悲観する必要がないというのは試合後のリカルドのコメントの通りだと思います。
チャンスの数もたくさん作れましたし、相手も1本決定的な場面がありましたけど、全体的なバランスで見たときに、いいチャンスを多く作れていたと思うので、勝利にふさわしい内容はできていたと思います。ただ、最後のゴールを決めきるところが達成できませんでした。我々としては1-0、2-0、それくらいの結果になっていてもおかしくない内容だったのではないかと思います。
この試合で仙台の得点のチャンスは50分前後に2回(松下と加藤のシュート)だったと思いますが、これはいずれも今季の浦和にありがちなピンチの生まれ方だったので確認しておこうと思います。
3月の月報記事で書いたのですが、今季の浦和の守備はどんどん外方向へ誘導して相手から幅を奪っていくスタンスです。2トップ、SHが縦方向は許容しつつ逆サイドの方向は切り続けて、SBのところで行き止まり、そこから内側に入れようとしてもボランチが壁を作って塞ぐといった具合でボールを奪うシーンは再現性高く作れています。
ただ、外側に追いやるためにはボールサイドのFWとSHの2枚だけでなく、ボランチも外レーンからハーフレーンのコースの壁になるために出て行く必要があって、そこの壁の作り方(コースの消し方)が甘くなったり、相手がボールサイドにオーバーロード気味に人数を割いて強行突破された時にはボランチが出て行ってしまっているのでバイタルエリアはぽっかりと空いてしまいます。
自分が記憶している範囲では3月の鳥栖戦から同じような場面があって、これは浦和の守備の狙いに対するトレードオフなのかもしれません。しかし、トレードオフだからこういう形で失点しても仕方ないよね、とはならないので、ボランチが出て行った時に例えば逆サイドのSHが中央まで絞ってくるとか、ボランチの出て行く先を中央へ戻りやすい場所にするとか、これへの対策はそろそろ打たないと相手がこのやり方を利用してくる可能性は十分に考えられます。
ただ、リカルドは保持についてはリスクを割と気にするが、非保持についてはリスクがあっても行こうという好戦的なスタンスに見えるので、昨年までのロティーナ・セレッソのようにトップ下の選手がそこまで下りてきて、トップの選手も少し下り気味になるというのはやらないのだろうと思いますが。明確に今年の構造から決定機が生まれてしまったので今回は文章に書いてみました。
さて、次は天皇杯。リカルドがこの3連戦で必勝と明言したのがこの相模原戦です。
J1リーグは長いですが、天皇杯はトーナメントであり、全ての試合が決勝だと思わなければいけません。最大限の集中力をもって、サプライズが起こらないようにしなければいけません。天皇杯での優勝もACL(AFCチャンピオンズリーグ)への道のりですので、中断までの残り3試合とも重要な試合ですが、何が何でも勝たなければいけないのが相模原戦です
仙台戦が始まる1時間前にスタートした相模原vs北九州を観ていた人もいると思いますが、2月のトレーニングマッチからは監督も変わって少しチームに変化が出てきているのが感じられます。守備は5-2-3で前の五角形が中央のスペースは使わせないようにコンパクトになっていて外に出てきたところでWBが縦スライドしていくとうスタンスに見えました。
中央の五角形の形は違いますが、外のWBの前後をどう使うのかというのは6月に富山戦と湘南戦で経験していて、大久保は仙台戦でメンバー外でしたし、田中も途中交代しているので、その時のように外レーンでWBの背後を抜け出すという役割をまた彼らにやってもらうのかなと想像します。
相模原戦、大分戦ときっちり勝って中断期間を迎えたいですね。
今回も駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
◆(おまけ)観返しメモ
0'40
浦和ビルドアップ。仙台はミドルゾーンでかなりコンパクト。左ハーフレーンの敦樹に西村が横から寄せる。明本は左足でのトラップを前に流して関口よりも前に入るか、右足でトラップしてプレスバックする関口の矢印の逆を取って中にドリブルするかのどちらかにしたかった。
1'08
スローインを小泉が逆サイドへ逃がす。デン→田中(ハーフレーン)で石原が田中に食いついたので西は外から裏を狙いに行く。
1'18
デン→柴戸(2トップ間)。西村が逆サイド側から寄せたので左には行けないが柴戸はターンで前を向いて田中へ。田中はフリーだったので中向きにトラップして逆サイドへ逃がそうとしても良かった。
1'32
槙野の脇に下りた敦樹へ関口が出る。
1'57
敦樹が2トップ間、柴戸がデンの脇の下りて3-1。敦樹がデンへバックパスしたのを起点に仙台が全体で前に出る。2トップ+2SHは3-1をそのまま捕まえやすい。敦樹→西川の段階で槙野と柴戸はスプリントで西川の高さまで下りたかった。柴戸が後ろ向きの状態で西川のパスを受けたので加藤はプレスに行きやすいし、最初に下りなかったツケが柴戸→西川のリターン後に槙野もプレスを受けたことに繋がっている。明本と汰木にどちらにも行けるようなポジションからパスカットした真瀬は見事。
4'10
明本からのスローインを関口、富田、西村の間に入ってターンして逆サイドへ逃がす敦樹。これを意識的に出来る選手はJ1でもそう多くない。上手い。デンが運んでる時にハーフレーンの田中も外の西もバックステップで離れているのが良い。ただデンはボールを離すのがちょっと早いかな。もう少し加藤をロックすると石原vs西+田中の度合いが強くなって後出しできたかも。この後の槙野も同様。運ばずにボールを離してしまったけど、それならゆっくり持って良いし、その場で一旦止まっても良い。
4'35
槙野→デンで仙台がスライドした逆を突いて明本まで飛ばす。
5'05
左が密集した状態なので槙野から西まで飛ばす。フリーの西から高精度のクロスだったのでユンカーは決めたかった。決定機1。
8'10
明本の裏に流れた西村に対して、明本が追っていく+敦樹がついていく。西村が止まって向きを変えようとした瞬間に敦樹が一気に寄せて完全に2vs1を作った。こういうのは大事。
8'50
スローインからの流れというのもあるかもしれないが、浦和は撤退時に2CHが片方がハーフレーンを下りて埋めてもう片方がボールサイドに加勢することでCBの前が薄くなるきらいがある。
9'44
スローインで汰木がライン際→内側のユンカー→小泉で抜け出した後の汰木が一見ボールが足元に入りすぎて、ボールを置いて行っちゃいそうなのにそのまま運べるのってなんか凄い。
10'57
仙台が左のスローインから後ろに戻してビルドアップ。富田が吉野の脇に下りるところに汰木が出て行こうとするが、画面では切れているが真瀬が気になって出るのをやめた。
11'20
高い位置の真瀬に明本が出たので関口はその背中を使いに行って槙野がついていく。敦樹が槙野の場所をカバーしたので真瀬→西村をカット。真瀬がボールを持ってる時に富田が小泉ー汰木のゲートを越えて真瀬に寄った分、敦樹がカットしたボールを小泉が先に拾えた。小泉が拾った後に仙台はノープレッシャーかつ、浦和の選手の人数が後ろに多かったこともあってか2CBも2CHもなんとなくで動いているように見える。大きく開いたCHのゲートを通してユンカーで前進。角度は厳しかったが汰木のシュート。ユンカーはリターンが欲しかったっぽいが平岡にブロックされそうな感じがするので確率は同じくらいかな。
13'38
槙野の脇に下りた敦樹→ライン際の汰木。汰木が小泉とのワンツーから中へドリブル。小泉をケアしておきたい仙台としては小泉を囮に使われると中央が空きやすい。汰木は中向きに走る吉野の背中側にボールを転がせるとユンカーまで通せたかも。
13'52
仙台のポジトラは西村がSBがいなくなった外のスペースへ流れているところを使う。
15'34 ①
浦和のビルドアップに対して仙台はかなりコンパクト。特に関口と加藤は中盤ラインを越える浦和のSBに対してついていくのをかなり我慢して、ハーフレーンに開いてくる浦和のビルドアップ隊へのプレスを狙っている。このタイミングは西が内、田中が外で田中が手前に行く動きに石原がついて行こうとした瞬間に西が裏へ走った。デンが見ていなかったのでボールは出なかったがいい動き。
16'15 ①
ハーフレーンのデンを加藤が前に出ながら見ようとしている。西は加藤の脇を取っていて石原が田中と西の両方を見ないといけない状態。デンはオープンなので田中が裏に走っても良い。石原がついてきたら西が空くし。
21'50
西村out、カルドーゾin
22'20 ①
槙野の脇に下りた敦樹がオープンにボールを持ってる状態で汰木と小泉が前から寄ってきている。富田と松下を連れてきてしまっていて手前が詰まった。
24'10 ①
CB間に下りた柴戸がオープン。右はハーフレーンの田中が手前で受けようととして石原をちょっと引き出して、外の西が裏を狙った。柴戸から空いた西まで飛ばして、田中がサポートからのクロス。石原に対して2vs1を作れた好例。
~飲水~
27'36 ①
デンがオープンだが、西も田中も手前受けの体勢。田中は加藤の死角にいて、石原は外の西へ体を向けているので、田中が石原の背後へ走っても良い。
27'43
デンがオープン。西と田中は手前のままだが、逆のハーフレーンから汰木が相手の背後へ走ってデンからロングボールを引き出す。飲水で相手の裏への意識が伝えられた?
28'36
西のボレー返却めっちゃうまい。かなりリラックスして振れている。天才。
28'53 ①
デン→西に石原が食いついて田中が裏抜け。西はアウトサイドで石原の頭を越させようとしたのか。相手の動かし方はかなり意図的だし良いトライ。さっきの汰木に続いて相手の裏を狙っている。ただ西のキックの選択は難易度高すぎ。通ってたらかなりスケベポイント高い。
29'21
外の西がビハインドサポートの柴戸に預けてワンツーを狙う。田中が西の矢印と逆に動いたことで加藤がカットしたボールを体に当てることが出来た。SHとSBの手前と奥の関係がネガトラでも役立った。
29'39
槙野の脇に下りた敦樹の前に現れるのが汰木ではなく小泉。明本が関口を越えた位置でボールを受けられたので、汰木は関口ー真瀬ゲートではなく真瀬の背後へ流れても良かった。そうしたら吉野を引き連れてユンカーが入るスペースを作れたかもしれない。
29'49
2トップ間で当たり前のようにターンする柴戸。相手から4~5mくらい距離があればもう朝飯前な感じ。ターン直後にCHのゲートの広さとそこに入っている小泉を見つけて強いボールを入れたのも良い。
30'10
保持のバランスが良いからネガトラで中を使われたら一気に囲める。ボール周辺は5vs2の状況なのでファウルしちゃったのは勿体ないかな。ただ、よくあるファウルに見えるけどなんで関口はあんなに怒ってるんだろう。。
33'37 ①
左ハーフレーンを運んで前進する敦樹。関口をズルズル後ろに押せているので明本は関口のラインを越える位置をキープし続けたかった。敦樹→明本で中盤ラインを越せなかったので明本+汰木vs関口、真瀬、富田になって前進できなくなった。
33'49
中方向へ横に運んだ槙野→西。石原が西へ出て行ったので田中はその背後へを狙う。受け手と出し手の間が合わなかったので通らなかったが狙いはOK。
35'21
ゴールキックを柴戸のドリブルで始める。1stDFがカルドーゾ、赤﨑がデン、関口が槙野、富田が敦樹、松下が小泉。加藤が西と田中のダブルマークだったっぽい。柴戸が西の方に体を向けたので加藤は西の方へ矢印を向けたが、柴戸はその逆の田中へ。
36'05 ①
デンがオープン。ハーフレーンは手前に小泉、奥に田中。小泉はゲートの前から移動してボールと一緒にゲートを越えたかったのかな。奥の田中が手前でもらおうとしたので石原が前にアプローチしやすかった。デンが運んでいる間に西が加藤のラインを越えていたら石原がもう少し迷ったかもしれない。
37'25
真瀬からバックパスが吉野まで戻った時にユンカーが平岡へのコースを塞いで、小泉も最初は吉野の右側にいたのに内側に膨らんで左から寄せなおすことで逆サイドへの展開を防いだ。ただ、苦し紛れかもしれないが吉野のボールが明本の背後を狙えていて結果的に仙台がコーナーキック獲得。仙台とすれば明本や西の背後が狙い目だったのだろう。
41'08
仙台が右から左へリサイクル。田中のスライドが間に合わないので手前に引いて行く石原に西がついて行くが、それによって空いたスペースを加藤が使う。柴戸の察知が速く先に体を入れることが出来たが加藤が競り勝った。加藤の強さが良かったプレーだけど、柴戸も最後まで体を入れ続けたから加藤のシュート体勢が良い状態にならなかった。
42'18
左から槙野が運ぶ。汰木は富田ー関口ゲートの奥をキープし続けるが、小泉、明本も手前で受けようとしている。槙野は右利きで関口が槙野の右足から明本へのコースの間に立っているので、明本は裏に抜けるか、槙野→汰木の後の3人目になれるように汰木と同じ高さに並んでも良かったかな。タイプ的に小泉はこういう時に裏抜けしないけど、武藤だったら汰木の裏に抜けたのかも。
45'40
敦樹→汰木が関口のラインを越えなかったものの、汰木→敦樹で敦樹がオープンに持てた瞬間に明本が真瀬の裏へ走り出す。汰木がすぐに前向きでサポートしに行ったことで真瀬が弾ききれなかったボールを拾えた。ただ、全体的に前向きなスイッチが入る前にボールが前進してしまったのでゴール前は人数不足。
47'53
左から槙野が運ぶが明本が関口のラインを越えられていない。真瀬と富田が汰木をかなり見ているので小泉が真瀬の背後に走っても良さそう。ここでボールを持っているのがもっと左足を使う選手だったらボールが出てくる可能性が高い分走ったのかもしれない。画面の奥で田中が裏を狙っているが、槙野が左足であそこまで通すイメージは湧かないかな。
~ハーフタイム~
45'20
デンがオープン。ユンカーが裏へ走り出す。仙台がコンパクトにならないように手前だけじゃなくて裏も使いますよという意思表示かな。ハーフレーンは加藤の背中に田中、その奥に小泉。奥の小泉は中央でのこぼれ球にすぐに反応してシュート。決定機2。
47’16
CB間に下りた柴戸→明本に真瀬が出て行くので、空いたスペースへ汰木が走る。真瀬が明本の左足の前に立てたので汰木へボールを出せなかったけど、空いたスペースへの認知はOK。
48'56
スウォビィクからのロングボールは西vs加藤へ。西は競り合いは得意じゃないので回避しようとするがデンvsカルドーゾは体の強さ的にカルドーゾに分がある。西村のようなスピードで行くタイプならデンは十分対応できるけど、当たりが強いタイプだと苦戦する。
49'18 ②
外に追い出そうとする時にはボランチが出て行くので中が薄くなりやすい。バイタルでこぼれを拾うのが松下なのは浦和的にきつい。西川ナイスセーブ。
51'15
3-1を作って左でフリーになった槙野。運ばずに明本までパスをしたので関口が対応できてしまった。仙台のSBに2択を突き付けるのはハーフレーンのビルドアップ隊がSHをロックしないと成立しないので、槙野は関口につっかけて行った方が良かったかな。ただ、デン→槙野のパスが槙野の後ろ側に出たので、デンが槙野の左足側につけるようにパスをしてあげると、槙野が運びやすかったかもしれない。
51'42 ②
外に追い出そうするので柴戸が富田の背中から寄ってそのまま外にいる。縦になった田中ー柴戸ゲートを見つけた松下がボールを受けると関口が左ハーフレーンまで流れて敦樹を引き出す。バイタルががら空きになって加藤がフリーでシュート。西川またもナイスセーブ。
65'14
仙台ビルドアップ。平岡→吉野のタイミングで真瀬が開いて富田が吉野と真瀬の間に下りて行くが汰木が富田の動きについて行こうとしているので吉野は右への展開をやめて平岡に戻す。平岡に対してユンカーが右足を切るように寄せたので次のコースは外or縦の2択。外(石原)に田中、縦(赤﨑か加藤)に柴戸がチェックできている。柴戸は来ると分かっていたので、落ち着いてユンカーまでダイレクトで縦パス返し。守備から攻撃がひとつながりになった良いプレー。
66'40
デン、田中out、岩波、興梠in。興梠がユンカーに「2トップ」と伝言。小泉が右SHへ。
~飲水~
72'22
右から左にボールを逃がして汰木+明本vs関口+真瀬になって、真瀬と吉野の間が開いた。汰木が顔を上げた時に興梠が裏のスペースを指さして吉野の背中からハーフスペースへ抜け出す。裏への意識とそこへボールを引き出すためのコミュニケーション。
73'16 ①
SHが小泉になったので、岩波がオープンに持っているが西も小泉も手前受けの体勢。西がもう少し裏のスペースへ出て行きながらボールをもらっても良かった。
73'55
3-1を作って岩波が右ハーフレーンでフリーにボールを持つ。岩波は運ばずにすぐにボールを出したが仙台は間延びしていて加藤はボールの移動中に西まで寄ることが出来ず。小泉が数歩裏のスペースへ矢印を出したことで石原がそちらを警戒して小泉に背中を向けている。それを見て小泉は足元へボールを要求してフリーでボールを受けた。福岡戦の先制点みたい。興梠までのボールが合わなかったのは残念。
74'20
関口のラインを越えた位置で汰木が受けて真瀬が出て行くと、空いたスペースへ興梠が走る。ボールは出てこないけどその直後もまたハーフスペースの奥を取りに行っている。中央定位のユンカーに対して手前を使う小泉とそこから奥を取りに行く興梠。人について行くのを我慢できていたこの試合の仙台に対して有効だったのは裏を狙って押し下げることだったので、興梠の投入と役割設定は的確だったと思う。押し下げることが出来るのでネガトラでは中盤に仙台の選手が少なくなってボールを回収しやすい。
79'20
関口out、氣田in
①浦和は3-1-5-1で保持し、幅担当が相手SHの脇から背中に立ってSBに対して外or内の2択にしようとするが、どちらも足元で受けようとしてしまう。外or内の横軸に加えて足元or裏の縦軸も加えたい。
※全体的に仙台のSHの脇から背中をSBが取れているので内に入ったSHは足元で受けるだけじゃなくて仙台のSBの背後へ抜けて行く動きが欲しい。裏を匂わせないと手前は空きにくい。関根ではなく田中を起用したのは裏に抜けて欲しかったから?
②浦和は相手から幅を奪う守備が基本。そのためボランチがSHやSBと一緒に外レーンまで出て外→中のコースに対する壁になろうとすることが多い。しかし、コースの消し方が甘かったり相手がオーバーロードをかけて強行突破してくるとボランチが出て行った穴(バイタル付近)が晒される。これはシーズン当初から多いパターン。