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成長を見せつけてリベンジ成功(2021/6/27 浦和vs福岡)

マッチレビュー

ゆうき
ゆうき

2021.06.29


本記事はゆうきさんがご自身のnoteで連載中の記事になります。

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今回はリアルタイムで見らませんでしたが、Twitterを見ていると好意的な言葉がたくさん出てきたのでウキウキでディレイ観戦しました。1巡目の対戦から何が向上したのかが見えやすい試合だったと思いますし、得点推移で見れば早い時間に先制して、終盤にもう1点取って突き放したというアウェイでやられたことをそのままやり返すことが出来たのは良かったですね。


福岡は4-4-2の配置で守備を行ってきて、浦和は2トップの脇からドリブルで運んでFWのラインを越えていこうとしたというのは前節の柏戦と同じような状況。ただ、福岡が違ったのはこの2トップ脇のスペースを運ばせる(使わせる)ことが守備のポイントで、相手に運ばせておいたところへ横からFWがプレッシングを行ってそのまま前(CH、SH、SBがいる方)へ進んでもらうというのが狙いだったのではないかと思います。

小泉やユンカーが相手に対して横から追って行って、後ろに引き返せなくしていくのは何度も見てきましたが、これに近しいことを福岡の2トップ、特に中村はやってきたように見えます。また、2トップ脇も左右で言えばジョンマリ側(福岡から見て右側)は3'30に右SHクルークスが縦スライドして、そっちからはボールが入ってこないように押し返そうとする動きがあったのに対して、左SHの金森が縦スライドしていく動きはほとんどなかったと思います。

ジョンマリと比べれば中村の方がプレッシングが上手なのでしょうし、左SBには普段は右SBに入ることが多いが対人に強さのある湯澤を起用しているということは、福岡としてはどちらかと言えば中村の脇から入ってきたところを金森、前、湯澤で圧縮して奪いたい、そこで奪えれば浦和は左SBの明本が高い位置を取ることが多いのでスペースが空きやすいところをジョンマリ、クルークス、サロモンソンという能力の高い選手たちで狙いたい、という算段だったのかなと。

「2トップ脇を使いたい浦和」と「2トップ脇を使わせたい福岡」でお互いの思惑は合致していますが、2トップ脇を使った次に何を起こしたいのかというところで、今回は浦和の方が一枚上手だったと思います。

福岡としてはキックオフ直後で配置が整う前に岩波に運ばれて、そこから西→田中達也で一気に湯澤の裏を取られたのは避けたいところだったと思いますし、小泉の先制点につながる9'45~のビルドアップで岩波が運んだ先のエリアで田中が前と金森の間に入ったところを柴戸がビハインドサポートしたおかげでワンタッチではたくことが出来たので奪いに行く時間をもらえなかったばかりか、前向きかつフリーでボールを持った柴戸がジリジリとためて時間を作ることが出来ました。

そのおかげで、田中が湯澤の手前を漂う時間が生まれてここを引き出すと、小泉が空いたハーフスペースへ走りこもうと動いたところに前がついてきたら、抜けるのをやめて前との距離が相手状態でボールを受けることが出来ました。小泉はボールを受ける前も受けた後もこの場面では前を完全に手玉に取ることが出来ました。素晴らしい。


福岡の2トップが一旦脇を使わせておいて、横からプレッシングをかけて縦に進ませるというのは5月の対戦時も似たような動きをしていて、その時は特に岩波のサイドが上手くボールを運ぶことが出来ず、ちょっと慌ててボールを離してしまう場面が多かったと記憶しています。

あの時は岩波が運ぶ前にボールを受けるポジショニングが相手に近い位置になることが多かったのが気になっていました。その時の雑感で出した図がこちら。

そして、この試合で岩波の成長が見られたのは27'37~。左からは侵入出来ずに槙野までボールが帰ってきて、槙野が岩波の方へ向いた時には、岩波がサイドステップをしながら2トップ脇のスペースへ移動しています。岩波の移動の方向に合わせて槙野も岩波の右足の前の方へパスを出すことが出来たので、岩波はトラップしたところで既にFWのラインは越えていて、ジョンマリとの距離も十分に取れているので、前を見ながら落ち着いてボールを運ぶことが出来ています。

このシーン以外にも岩波がボールを受ける前に2トップ脇のスペースへ動きながら待てていたり、トラップを足元にピタッと止めるのではなく運んでいく方向へ流しながら止める、いわゆるコントロールオリエンタードがスムーズに出来ている場面が何度も見られました。

相手に寄せられても余裕が持てる距離でボールを持てているため、運んでからの縦パスも相手を見ながら出せていましたし、前線でパスを受ける側も5月の時は使いたいスペースが被ってしまったり、入っていてほしい場所にだれも入らなかったりというもどかしさがありましたが、そちらについてもユンカーが中央に留まるという基準点があることも手伝ってか、そういった課題もほとんど見られなかったと思います。


後半になると福岡がボールを持つ時間が増えました。ボールをあまり繋がずに前へ飛ばすのは前半同様だったと思いますが、前へ飛ばした後は、より深い位置まで追いかけるようになったと思います。そうなると浦和がボールを持てたとしてもビルドアップのスタート位置は低くなりやすいですし、ビルドアップを始める時の浦和の選手と福岡の選手の距離は前半よりも近い位置になります。

先述の岩波のポジショニングも相手から距離を取る時間の余裕があるから出来たわけで、ボールを持てた時に相手がより近い位置にいると誰かがボールを持っている間にポジションを取るための時間は減った影響はあったのだろうと思います。特に今の浦和は守備と攻撃の配置差は結構大きいので、トランジションを完了するためには少し長めの時間が必要になります。

ただ、福岡の方がより深い位置まで出てくるのであれば、当然背後のスペースは手薄になるので、オープンな展開になる危険性はあるものの浦和がそこを狙ってカウンターに打って出るシーンが増えたのも必然だったかなと思います。


浦和の方もボールが持てない時間が増えたとはいえ、前半に比べれば持てなくなったねという程度で、65'55~の自陣でボールを回収した後に時間を作りながらボールを保持している間に各自がポジションを取れています。この後に一旦ボールを失ったものの、ボール保持で適切な配置が取れていたことと小泉がすぐに切り替えてプレッシングをかけたのをきっかけにボールを奪うと、そこからユンカーのシュート、こぼれ球を槙野が拾って左から切り込んでシュート。

ボールを持てない時間が出来たとしても自分たちで時間を調節できるタイミングがあれば、そこからまた盛り返すという感じで良い流れを自分たちから作り出せるようになってきたなともいます。

2点目のコーナーキック獲得はバランスの整った守備陣形からプレッシングをかけてボールを回収して、そこからどんどんボールを前方向へ推し進めて汰木のシュートがブロックされたところからでした。

カウンターからも得点が取れれば文句なしだったかなと思いますし、PKでユンカーの軸足が滑った?のは残念でしたが、総じて前回対戦からの成長を見せつけることが出来た試合だったと思います。


これで6月の試合もすべて消化しましたので、また1ヶ月のまとめとして月報記事を書こうと思います。今月は試合は多くなかったものの、酒井と江坂の加入というビッグニュースやその入団会見での西野TDのコメントなど、ピッチ外での話題が多かったので、そちらを振り返るのも楽しみです。


また、3年計画がスタートして1年半が経過しちょうど折り返し地点まで来たので、その記事とは別でもう少し3年計画全体を俯瞰して考える時間を作れればと思います。

こちらについては、色んな方の意見や感覚を聞いてみたいなと言う思いもあるので、アンケートか何かの形でご協力をお願いするかもしれません。7/10の大分戦のあとは1ヶ月の中断期間がありますので、この辺りで時間を取れたらなと。

是非、浦和のサッカーを追いかけている方は2019年12月の強化体制発表会見からここまでの流れを思い返しておいてもらえたらなと思います。


今回も駄文にお付き合いいただきありがとうございました。


浦和レッズについて考えたこと

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