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【雑感】2022/4/10 FC東京vs浦和(J1-第8節)

マッチレビュー

ゆうき
ゆうき

2022.04.14


本記事はゆうきさんがご自身のnoteで連載中の記事になります。

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札幌戦、清水戦に比べると決定機の数は減ったかもしれませんが、試合全体のテンポについては今季最も自分たちの思惑の中で進められたのではないかと思います。

バルサのDNAを持つ男という触れ込みで東京へやってきたアルベルさんは、そういった要素はありつつも東京が昨年まで長谷川さんで積み上げてきた速さとか強さといった要素をベースにしながら、少しずつ自分のやりたい方向へ倒していっている印象をこの試合の前の数試合を観た中でも持ちました。

433からWGが外切りでCBへ出るプレッシングを基本にしており、それによってボールは中へ誘導されるわけですが、そこへ強くアクションを起こし続けられる松木と安部を配置し、プレスバックを厭わないディエゴを中央で構させることで、前向きなアクションでボールを奪ってスピードのあるWGと共にカウンターに出られる怖さがあります。


この試合では、アダイウトンではなく紺野を先発で起用したというのは非保持でコースを制限する意識や成功率から想定内でしたが、紺野をこれまでとは逆の左に置いて永井を右にしたのは想定外でした。浦和のスタメンが明本なので、そこを前に押し出したところの裏を永井で狙いたいという算段だったかもしれません。

右SHから内に絞ったポジション(WGの背中/アンカーの脇)をスタート位置にしていましたが、東京の非保持は今日はどちらかというと中盤は逆三角形ではなくて松木が前、青木と安部が後ろという正三角形のような並びで、小泉が内に入るところもしっかりケアしたいという意識も見えました。ディエゴがCBまで出れば安部が柴戸のところまで出て行って、ディエゴが出ずに構えれば安部は青木の脇を埋めるという感じだったでしょうか。

vs外切り4-3-3のビルドアップというと1か月前の川崎戦の手法を思い出しますが、今日もそれと同じようにCFとWGのゲートにボランチが顔を出して、CBに対して外切りしてくるWGの背中へボールを入れながら前進を試みました。8'00~は綺麗に外せた例だと思います。


紺野を外して酒井が一気にドリブルしてボールを前進させますが、モーベルグが大外でスタンバイしているところに中央から江坂も流れてきたので、酒井が運んだ先は渋滞気味。さらにモーベルグ、江坂のどちらも裏を狙う素振りがないため長友とトレヴィザンはボールが入ったところを抑えれば何とかなるという感覚で守れたのではないかと思います。

江坂かモーベルグのどちらかが裏を狙ったらもう少し面白い展開になったかもしれないですね。図では江坂が手前、モーベルグが裏のパターンにしてみましたが、どちらが手前でどちらが裏でも良さそうです。

結局この場面は江坂とモーベルグが長友の前で重なり気味になって、酒井が江坂とのワンツーで青木を外しましたが、トレヴィザンはその位置にステイしていたので、このサイドからの前進はあきらめてボールを下げています。


浦和が紺野のプレッシングを外せたことで、紺野は徐々に前に出ていくアクションが減ってきたと思います。そして、19'55~は東京のプレッシングが曖昧になったところを逃さずに、今度はきちんとプレッシングラインを越えた後にスピードアップしてゴール前まで迫ることが出来ました。


江坂とモーベルグが内外を入れ替えた状態から、江坂がスッと東京の選手の間に顔を出してボールを引き取るとすぐにターン。そして青木の脇を取ったモーベルグもボールをターンしながら引き取って一気にスピードアップ。

相手の中盤ラインを越えてボールを受けられる状況だったのでモーベルグは迷わずにスピードアップしたのだろうと思いますし、少しだけモーベルグがドリブルをしたことでトレヴィザンの意識がモーベルグに向いていて、ユンカーはそれを逃さずにトレヴィザンの背後を取りに行きます。ついていくのは森重しかいないので、森重がいなくなったところへモーベルグがパス&ゴーで入ってゴール前へ。

綺麗な前進をした場面の中ではこれがこの試合で一番ゴールの匂いがしたかもしれません。ただ、図にすると分かるように中盤ラインを越えた位置にいたのがユンカーとモーベルグの2人だけなので、スピードアップしてしまうと彼ら以外の選手がゴール前へ関与するだけの時間は取るのは難しかったと思います。もう1人、早く反応して一緒にゴールへ向かってスピードアップできる選手がいればな、、という場面でした。この状況で入っていけるなら小泉でしたかね。


東京の保持はまだまだ構築中という印象でした。基本的にはスウォヴィクはビルドアップに関与せず(そもそもあまりキックが得意ではない)、森重とトレヴィザンの2人からスタートしますが、SBも早い段階でCHの位置へ移動したり浦和のSHの脇あたりにポジションを取っていました。

浦和を見ている人にはおなじみだと思いますが2トップが中を閉めたところから横方向に追いかけるのをスイッチとして、SHも相手を横に置いて縦に進ませるのは許容しつつ、SBで行き止まりにするというプレッシングは効果的だったと思います。

26'35~や38'24~など、この試合ではユンカーも精力的に森重を横方向で追いかけていたので、この試合では小泉や明本のところで回収できる場面が記憶に残りました。


東京の予習としてみていた試合でも、アルベルさんは非保持で穴になりそうなところはスパッと変えていた印象があります。メモしていた範囲で言うと、広島戦後半に撤退時にアダイウトンの戻りが緩くて松木の隣にスペースが大きくなってきたなと思ったらすぐに東を入れて手当したり、マリノス戦も右CBの岩田から右SBの小池へのコースの切り方が甘くて前半の途中からボールを通され始めるとハーフタイムで永井に代えたりしていました。

この試合でも先述の通り、前半は紺野のところでプレッシングが上手く機能しなくなっていたのでハーフタイムであっさりアダイウトンに交代しましたね。


アダイウトンを入れたことで前半よりは中盤でガチャっとした場面が増えたように思いますし、保持でも紺野は外に張ったところがスタート位置ですがアダイウトンはどんどん内に入っていってディエゴとポジションをクロスしたりもするので、守る側とすれば少し厄介な存在だったと思います。

浦和の方は前半よりも小泉が外にいる回数が増えたように思います。明本をより前へ押し出そうとしたのかもしれませんし、単純にショルツor下りた柴戸ー小泉ー明本で永井と渡邊に対して数的有利を作って惑わせたいという思惑もあったかもしれません。

今のところでも書きましたが、前半に比べて柴戸を早めにショルツの脇におろして岩尾がアンカーの3-1のような並びにすることも多々ありましたが、これだとショルツが中央になってしまって、運び出すスペースがなくなってしまっていたので、これはイマイチでは?というのが正直な感想。


モーベルグに代えて松尾を投入し、小泉が左から右へ移り、どのタイミングからだったかはきちんと見ていませんがCBも岩波とショルツを左右逆にしていて、さらに松尾が左の大外を取るので明本はビルドアップ隊の左側を担当するようになりました。ここでの明本のタスクはこれまでの試合で大畑がやっていたことをイメージしていたと思います。札幌戦でも片鱗は見せていましたが、明本はやれることが多すぎる。

松尾は清水戦に比べると大外がスタート位置になったこともあってか、裏へのアクションを起こしやすそうでしたね。65'15~のように一度後ろ向きでボールを受けても明本へ落としたら裏へ向かって走り出して一気にゴール前まで運んでチャンスを作れていました。


東京の方も松木に代えて中村を投入し、渡邊をSBからトップ下へと明本みたいなポジション変更をして配置を4-2-3-1に変更します。非保持はどちらかというと4-2-4というくらいに前に向かって圧をかけようとしていて、後半はそもそも東京が浦和を落ち着かせないような展開に持ち込めていたところに加えての配置変更だったので、浦和が前半に出来たようなビルドアップをする時間はほとんどなかったような気がします。

85'35~のビルドアップもいきなり気温が高くなって余分に疲労していたということもあってか、全体的にポジションを取る動きが遅くなっていましたね。岩波が三田から外切りプレスされて柴戸に縦パスを付けたところは、出来ればダイレクトで横の明本へはたいて、明本が運びながらプレッシングラインを越えられたら良さそうな場面でした。


両チームともなるべくオープンにはしたくなさそうな感じだったので試合を通して緊張感があって良かったと思いますが、浦和とすればスピードアップするところの共有であったり、スピードアップするためのアクションの起こし方やポジショニングがまだまだ構築途中という感じでしたね。

昨年の終盤に出場機会が多かった選手は多く残っているものの、「すべての選手のシンクロが必要」というリカルドのチームにおいては個人戦術が備わっている選手が揃ったとしても、チーム全体で有機的に動くためにはそれぞれがビルドアップからゴールに繋がるところまで同じようなイメージを持つことが求められると思うので、すぐに美しくゴールまで進めるようになるかというと難しいことは理解できます。

とはいえ、試合は待ってくれないので早くその作業が進まないのかなと正直やきもきもしてしまいますが。。


さて、シャルクが残り10分となったくらいで入りましたね。なるべくゴールに近い場所でちょっとしたスペースを探し続けていた印象でしたかね。プレーエリアとしては小泉<江坂<シャルクの順でよりゴールに近くなっていく感じでしょうか。

これから始まるACLでは中盤よりお互いのゴール前でのシーンが多くなりやすいと思うので、早速より多くの見せ場が来るかもしれません。


10試合で勝ち点10なんて全然想定していませんでしたが、このタイミングでACLという疑似キャンプのような時間があるのでここを有意義に使えると良いですね。ただ、中2日で6連戦。考えるだけで疲れてきますね。

リカルドの言うようにこんな日程では文字通り総力戦になるでしょうし、こういうリーグ戦とは違う舞台でチャンスをつかむというのを我々は昨年大久保で見ています。ここまでなかなか出場時間がない選手も、試合に出ながら数字がついてきていない選手も、良い意味でゼロから始まる場所に行くことでネガティブなものや、余分な荷物を脇に置いて闘ってくれると期待しています。


余談ですが、この試合は今季初めて現地観戦しましたが、岩波がこれまでにない動きをしている場面があってとても良かったなと思いました。正直不当な批判では?というものも目にしますが、2020年から毎年一歩ずつやれることを増やしていることは間違いないので、勿論足りない部分はもっとやってくれよ!ということも大切ですが、良いところはきちんと良いと言っていきましょう。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。


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