色々なことがただただ辛い試合になってしまったなという印象ですかね。。明確な決定機こそ作れなくても先制して、保持も非保持もこれは準備してきたんだろうなというところが感じられる展開だったので3ポイントは取らないといけなかったと思いますし、なによりレギュラーを奪いかけている犬飼が負傷退場してしまったのはあまりにも残念でした。リプレイで見るのが心苦しくなるシーンでした。
リカさんのチームは縦に広くタッチライン際に狭く相手を追い込むのが基本的なやり方なので、それを実現する手段として札幌を相手にした時は今日の4-3-3風味の受け方が良いよねと。これは練習でやっていたやつです。全体図っぽくサッカーを見るのが好きな人は何となく感じ取っているかもしれませんが。
— Tetsuro Kutsuwada (@tetsu11k) April 2, 2022
もうやんを前に出して外から左CBを追い込みながら2トップの1人がアンカーを見る。中盤は3枚気味でもうやんの後ろは柴戸が要撃、全体もスライド。前進されたら4-4-2に戻る。準備してきた守備ですぬ´д` ;
— ジェイ(CV:沖永雄一郎) (@RMJ_muga) April 2, 2022
さて、「準備してきたんだろうな」という非保持については、火曜の公開練習で準備してきたことが表現できていると記者の方たちがツイートしていて、後半の途中まではそれがよく見えたと思います。
札幌はビルドアップでは2CHの片方が後ろに下りて3バックの両脇はSBのように振舞うので、中央が2-1の形でスタートすることが多いです。これに対して浦和は右SHのモーベルグを前に押し出して、左SHの明本を内側に締めた4-3-3の並びでスタートして、ユンカーがアンカー役の選手(主に深井)を押さえつつ、江坂・モーベルグが宮澤、高嶺をチェックするようなイメージだったと思います。
CHの並びが右に柴戸、左に岩尾としていたのもプレッシングで4-3-3になった時に岩尾が中央で柴戸と明本がIHとして前後左右の広範囲にスライドするというタスクを任せたいということもあったと思います。
札幌は田中と福森が早めに開いくだけでなく、なるべく高い位置を取ったところをスタート位置にしようとすることが多かったため、札幌が最終ラインでボールを持った時には江坂とモーベルグが田中と福森のコースを消すことが出来ていて、縦パスを刺そうとしても浦和の中盤3枚が中を閉めている状態だったため、最終ラインやそのひとつ前のあたりから逆サイドの大外へボールを飛ばすくらいしか前進する手立てを作れなかったように見えました。
浦和は4バックで札幌はWBがどちらも幅を取って高い位置にいるので、当然浦和のSBが外に引っ張り出されて4バックの隙間は空きやすくなるのですが、この時に4-3-3の中盤3枚が空いた場所へ下りて間を埋める動きがスムーズでした。誰がどこへという決まりは特に無かったように思いますが、それだけ臨機応変に対応できていたということかなと思います。
このWBまでボールが入る場面までが許容範囲だったのか、本当はそうではない場所へボールを追いやりたかったのかは分かりません。札幌は金子と菅なら金子の方が単体での怖さがあるので大畑は最後のところはやらせないことの方が多かったですが、それでもゴール近くまで来られてしまうので見ていてハラハラしてしまいました。
保持では特に大畑が犬飼の脇くらいの高さからスタートすることが多くて、大畑のマンマーク担当である金子を前へ引っ張り出してからその背後で明本がロングボールを競ってこぼれ球をユンカーや江坂がサポートして拾おうとする意識も見えました。
また、非保持からの流れであったり、札幌のマンマークをかく乱するためということもあってか、大畑と明本がポジションを入れ替えた状態でビルドアップすることも多々ありました。そうした時に明本も大畑と同様にしっかり金子から距離を取るのが速かったのは良かったと思います。
右側は馬渡、モーベルグ、柴戸がローリングすることで菅、福森、高嶺を押し込んだり手前に引っ張ったりして誰かが空けばそこを使うというイメージだったように見えます。11'45にビルドアップで柴戸が高嶺にアフターのファウルを受けた場面なんかはその狙いが出ていたのではないかと思います。
上手く相手から距離を取ってボールを持てたり、個人のスキルで相手を外せたときに前進できそうな場面はありましたが、モーベルグやユンカーなど個人のスピードによるところが多く、43分のモーベルグが運んでユンカーのシュートが菅野の正面に行ってしまった場面のようにチャンスになるのはそういった展開の時だったかなと思います。
なので、後半にユンカーとモーベルグが下がった後にはチーム全体として推進力が失われてしまった印象です。これはどちらもまだフルタイムで起用するだけのコンディションでなかったり、ここでフルタイム起用すると清水戦、FC東京戦のうちどちらかはお休みさせる必要がありそうだったり、単純にこの試合だけにフォーカスしきれない事由があったのだろうと思います。
ユンカー、モーベルグ以外の選手たちで前半のうちに成功体験があったのは大畑が金子を引き出してその背後へ明本や江坂が入ってボールを拾うような場面だったので、この試合も少しギャンブル気味の裏へのボールが多かったような気もします。
64'40~の中島と西川の一触即発の場面も大畑が手前に引いてオープンにボールを持つところまでは良いですが、そのあとに近いところでポジションを取りなおす動きが少なく、最初から裏へ飛ばす前提になっているような感じでした。
この場面は前線にいる選手が横並びで中盤が埋まっていない状態だったので大畑からのボールがそのまま自陣ゴール前まで跳ね返されるような形でピンチを迎えてしまいました。
試合後にリカルドが言及していたのもそういうところかもしれません。
(相手のハイプレスの裏を狙っていくようなプレーがよく見られたが?)
「もちろん、背後を狙うところを考え方の一つで持ってはいましたが、間で受けるプレーだったりコンビネーションだったり、そういったところが少し欠けてしまったと思います。相手の出て来たところの背後を狙うこともプランにはあったので、少しそのバランスが偏っていたと思います」
失点シーンについては外レーンで相手がボールを持たせるところまではいったのですが、ルーカスに対して明本と松尾で挟み込もうとしたときに外されてしまい、逆サイドの菅まで展開されてしまいました。
松尾が瞬間的に明本と同じコースを消した状態になったことでルーカスがフリーでボールを持ち直す時間を作ることが出来ましたかね。(オーバーラップしている田中を気にしたのかもしれませんが)
菅まで展開されるとしたら、一度最終ラインに押し戻してからU字になるようにボールが動けば自分たちのブロックをセットし直す時間があったと思いますが、一発で逆サイドへ展開されるとSBが対応するために外へ出て中盤から最終ラインに人を入れるので守備ブロックの重心は後ろになってしまいますし、体の向きが反対になるので相手選手から目を切らないといけない瞬間が発生してしまいます。
混戦の中でしっかりボールをコントロール下においてシュートを決めた金子は見事でした。ただ、それまで上手く守れていた時間が多かっただけにここの対応はもったいなかったですね。
荒野が退場になった後は札幌は5-3-1にしてプレッシングは行わず、浦和に前へ出てこさせて金子、中野といったスピードのある選手が一気に裏の広大なスペースへ飛び込んでいくスタンスに変更しました。
相手が強くプレッシングに来られなくなった瞬間に小泉を投入し、ボールをがっちり握りに行ったリカルドの采配は理解できますが、残り時間が少ないこともあって相手を動かしてその間で小泉がボールを受けるような場面は作れず、松尾が大外でドリブル突破担当になっていたため中央でのアクション不足が発生。
松尾が細かくアクションを起こしてルーカスを外したり大畑のオーバーラップを促すのはとても良かったのですが、肝心なゴール前はそこで外せない限りはなかなかチャンスがないという感じになってしまいました。
さらに配球役で後ろに残っているのは岩尾、小泉で札幌のカウンター部隊にくらべてスピードでは明らかに分が悪く、ショルツも決してスピードタイプではないので、西川がなんとか体を入れて中野との競り合いを制して防いだ場面など、札幌がやれるとしたらこれだよねということをそのままやられてしまっていました。
2月、3月で明らかに勝ち点が足りないという難しい状況を作ってしまったので、この3連戦で出来るだけ巻き返さないといけないところでした。試合トータルで勘案すれば引き分けても仕方ないのかもという内容でしたが、試合の展開とすればこういう試合で勝ち点3を取れないと優勝争いに食い込むことはできないので返す返すも残念だったなと思います。
ただまぁ、このような相手とリーグ戦で当たるのはもうしばらくないので切り替えて清水戦、FC東京戦に向かいましょう。そうするしかありません。
今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。