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【雑感】2022/3/2 川崎vs浦和(J1-第10節)

マッチレビュー

ゆうき
ゆうき

2022.03.04


本記事はゆうきさんがご自身のnoteで連載中の記事になります。

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どの試合もある程度の内容は伴っているのに、まだ勝てないのはとても辛い。神戸戦、G大阪戦ほどではないにしても、90分通して五分五分かなという内容でしたが、どうしても遠い勝ち点3。。

ただ、「なんかうまくいかないなー」と言いながら待っていても勝ち点3を掴むことはできないので、やるべきことをやり続けなければいけません。これまで厳しい状況を戦ってきた選手たちが一気に抜けた後に、経験がものをいうような状況に陥ったことは皮肉なようにも感じますが、クラブがそれでもやり切れると踏んだ上での編成ですから、今いる選手たちにはどんなに苦しい状況であろうとも、今やれること、今やるべきこと、これらを諦めず、手を抜かず、やり続けるしかありません。


試合の中身について、まずは浦和の保持から見ていくと、前半は川崎のWGが外切りでCBへ寄せていく矢印の逆を取ることで何度も前進に成功しました。FFS杯とは違って、左SHに小泉を置いたことで、明本、江坂、関根、小泉と攻撃的な選手を4人配置することが出来ました。小泉は非保持では左SHですが、保持では左のハーフレーンから中央あたりを担当し、川崎のIHの背後(橘田の脇)のスペースでボールを受けることが多かったです。

右側は関根がハーフレーン付近を担当することが多く、江坂は関根よりも外に開いたり、少し低めにポジションを取ったり、この試合では右側を中心にフリーマン的に振舞ったのかなと思います。


前半で最も上手く前進が出来たのは先制直後の33'40~のビルドアップでしょう。岩波とショルツが西川の脇の高さにポジションを取ったところからスタートして、遠野が岩波に外切りに寄せたところをハーフレーンの敦樹を経由して外します。

WGが出て行った外側のカバーはIHが出ていくのが川崎のセオリーですが、酒井が早めに遠野の外側にポジションを取っていたので、チャナティップは後追いのような形になり、酒井はここを十分に引き付けたうえで関根、江坂とパスが通って、広く空いた中央、逆サイドへときれいに脱出しました。

この場面に限らず、川崎の3トップに対して敦樹と柴戸があまり下りずに遠野ーダミアン、ダミアンー家長の2つのゲートの奥に立つことで、遠野や家長がCBに対してSBを背中で消して寄せてきてもCHを経由してプレッシングを外したいということが共有されていたことがとても良かった点ですね。


仮に浦和のSBがもっと高い位置で待っていると川崎のIHはWGの脇のスペースをケアする必要がなくなるので敦樹、柴戸のところへ意識を向けやすかったのではないかと思います。

浦和は酒井も馬渡も川崎のWGの脇にポジションを取っていたので、WGのプレッシングを外してCBから直接SBにパスが出る可能性もあるので、川崎のIHからすると、自分の前にいるCHとSBのどっちに出るかわからない、SBに出たら長い距離を出ていかないといけないので、準備しないと間に合わない分そちらへの意識を優先する、というのがあったのではないかと想像します。


51'10~の明本の決定機も酒井がFKを蹴って始めた場面からではありましたが、チャナティップが中途半端に前を覗いたままのポジションを取っていたことでチャナティップの背中(橘田の脇)に入った江坂を経由して関根が抜け出してクロスを上げていました。

チョンソンリョンが指先で少し触れたことで明本のシュートを枠外へ弾くことになりましたが、後半の早い時間で仕留められなかったというのが後々影響することになってしまいましたね。。


続いて浦和の非保持ですが、FFS杯は4-4-2からCHを1枚前に押し出すことで中を経由させないというプレッシングを行いましたが、この試合はシンプルに2トップがアンカーの橘田を消してCBへ横方向から寄せてどんどん外へ追い出すというやり方でした。

川崎は特に山根が小泉の脇、あるいは小泉のラインを少し超えた位置をスタートポジションにすることが多かったです。そうなると、山村からのパスが届くまでの間に小泉がしっかり横方向を消して山根へ寄せることが出来るため、山根の選択肢を限定することが出来ています。10'20~を例に見てみると、下の図のような感じでした。

これは左の塚川も同じようなイメージで、塚川にパスが出たときには関根が積極的に寄せて行っています。関根から距離があったときには状況に応じて酒井が塚川まで縦スライドしたりもしました。36'20、37'06と立て続けに谷口から塚川へパスが出たところに対して素早く寄せて前進を制限しています。


後半に入って少し潮目が変わったのは川崎のSBのポジショニング調整だったかなと思います。同点ゴールのCKに行くまでのきっかけになった60'05~の川崎のビルドアップでは山根のスタート位置が前半とは明らかに違います。

ボール保持者がオープンな状態になったことで馬渡からすると内側に入ってくる脇坂にも、外側にいる家長にも、どちらにもボールが入ってきそうな状況なので迂闊に動くことが出来なくなりました。

山根は馬渡のアクションに対して後出しじゃんけんをすれば良くなっています。この場面では馬渡が脇坂の飛び出しをケアするためにその場に留まったので、外でフリーになった家長へパスを通して、後は浦和のアクションを観ながら2択のうちの残った方を選択し続けてペナルティエリアまで侵入しました。

63'15~の2点目までの場面も塚川が山村からのパスを手前に引きながらボールを受けています。関根から距離をとって前向きにボールを持つことが出来、そこを足掛かりに中央の脇坂へパスを通し、脇坂の見事なトラップで勝負を決められてしまいました。


一気に勝負をひっくり返されてしまうと、浦和の方はここまで勝てていないことが焦りをより一層駆り立ててしまったような感じに見えました。

70'50の西川にボールが下がっていったん川崎のプレッシングが止まりかけた場面も高い位置にいる馬渡までロングボールを飛ばしますが、周りのサポートがある状況でもないのでちょっと無理があったかなと思います。

74'30に前線を3枚替えでリフレッシュしますが、この辺りになると川崎の方はWGはプレッシングを行わず4-5-1で中盤を埋めるようになりました。75’55もショルツがオープンにボールを持つと川崎の方は4-5-1で構えた状態になっていたので、ショルツはユンカーまでロングボールを飛ばしますが、ユンカーは空中戦はあまり得意ではないので上手くボールを落とすことが出来ず。


この直後に今度は岩波から小塚の脇にいる松崎へズバッとボールが入りますが、SHである松崎が内に絞っていて明本とユンカーが2トップになっているので川崎は4バックが中央に絞れている状態。松崎は左利きなので右ハーフレーンでターンして前を向いても内側から相手に寄せられてしまうとゴール方向には向かいにくくなってしまいます。


松崎が小塚と小林の間でボールを受けてターンするのは素晴らしいのですが、左足でコントロールするとどうしても外回りにターンすることになるので、松崎は少し小林の背後の方にずれながらボールをもらって前を向いたときに中へ入るための懐のスペースを作るとかが出来ても良かったかもしれません。

あるいは岩波が小塚と小林の間に向かって運んで2人を引き付けて酒井、松崎が小林の斜め後ろを取って空いた方へパスを出すといったことがあっても良かったかもしれないですかね。

時間は減っていくので少しでも前へ前へとか、早くボールをもらいたいとか、そういう感情は理解できますが、ビルドアップで下から繋いでいくときは「急がば回れ」の方が最終的にはより前のエリアでゴールに向かった状態の選手を作れることも多いです。手数はかかるので、そこに行きつくまでにミスが起きる可能性があるという点について天秤にかけることにはなるのですが。。


ユンカーがようやく試合に出ることが出来ましたが、ユンカーこそ周りがお膳立てしたときにはきっちり結果を出せるタイプの選手なので、横着してボールを入れ込んでもかえって彼が消えてしまうような気がします。最後の方にはコーナーフラッグをはたいてしまうくらいにストレスが溜まっていましたね。

平野も今季初出場でしたが、彼は割とうまく試合に入れていたと思います。ビルドアップでは相手を見ながら、相手が動けばその逆を突くという上手さを見せてくれましたし、岩尾と競いながら、ACL期間中はこの二人を入れ替えながら上手くビルドアップの質を落とさずにやっていけるのではないでしょうか。

もちろん、離脱から戻ってきたばかりなのでコンディションはまだまだだろうと思いますが、大久保も含めて少しずつ選手が戻ってきていて、チームとして最低限の質はキープしたまま5連戦を終えようとしているのはポジティブに捉えて良いところだろうと思います。本当に、後は結果だけなんですよね。早く勝ちたい。

やはり内容が伴わないとどうしても下を向きがちになってしまいますが、じゃあ今のチームで誰がみんなの顔を上げさせるのか、あと一歩足を前に出させるのか、厳しい時こそ責任感のある選手が引っ張っていってくれると信じています。なので、応援する側も少しでも選手の顔を上げてあげられるように、あと一歩足を前に出させてあげられるように、サポートしてあげたいですね。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。


浦和レッズについて考えたこと

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