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【雑感】2022/2/26 浦和vsG大阪(J1-第2節)

マッチレビュー

ゆうき
ゆうき

2022.03.03


本記事はゆうきさんがご自身のnoteで連載中の記事になります。

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精神的にも大きな疲労があった神戸戦から中2日で、さらに次の水曜にも川崎とのアウェーゲームが控えているということで、酒井がお休み、柴戸と馬渡がベンチスタートとなりました。

ただ、選手を入れ替えたといっても代わりにスタメンに入った宮本や岩尾は戦列復帰、即出場というくらいのスケジュールだったのではないかと思いますし、キャンプ終盤はトレーニングに参加できていなかったという小泉、キャンプのほとんどでトレーニングに参加できていなかった大畑を起用せざるを得ない、控えのアタッカーはユース所属の早川のみで、先行逃げ切り以外に策がないようなメンバーでした。

(開幕から厳しい試合が続き、結果が出なくて苦しいと思う。今、チームにとって一番必要なものは何だと考えているか?)
「今回は疲れもあったと思いますが、ただ我々に現在起こっている問題としてどうしても前線の選手のケガ人などの部分では、スタートの選手や途中から入る選手も含め、ポジションのバランスが悪くなっているところがあると思います。たとえば60分、65分を過ぎたくらいで疲労がたまってきた中で、純粋なポジションの選手を入れていくところが、今は困難な状況ではあると思います。違ったポジションでもしっかりプレーしてくれる選手たちには感謝していますけど、早く全員がそろってしっかりプレーできるようになることを願っています」

浦和は左から大畑、関根、小泉、松崎、宮本を5レーンに配置してG大阪の5バックに嚙み合うような状態にすることで、どこかが食いつけば江坂がフリーマンとして空いた場所を狙っていくといったイメージで崩しにかかっていたのかなと思います。

G大阪の非保持はWBが外レーンの選手に出ていくというのが約束事になっていて、大畑、宮本が低めの位置でボールを受けようとしたときにもシャドーの選手ではなくWBがそこまで出ていっています。8'04~の決定機はこの約束事を上手く利用して作り出すことが出来ています。

江坂が抜け出したときに小泉が真っ先にゴールに近い場所をめがけて走ったことでG大阪のDFを後ろに引っ張り、手前に空いた場所へ逆サイドから松崎が後から入って来ているのは素晴らしい形。加えて、松崎が仮に潰されたとしても、さらに外から宮本が入ってきていたのでこれは狙い通りの形だったのではないでしょうか。

ただ、松崎がゴール前に入るのがほんの少し早かったので江坂からのボールがちょっとだけ松崎にとって後ろ気味になったように見えます。神戸戦後のインタビューでも、この試合のMDPのインタビューでも、自分にプレッシャーをかけるようなコメントがありましたが、それでちょっと力が入りすぎちゃってるなーという感じがします。その分、中に入るためにスピードアップするのが早くなっちゃったのかなと。


神戸戦でもそうでしたし、江坂は割と左に流れてプレーすることが好きというか、やりやすいんでしょうね。似たような感じで22'44~は岩波から大畑へのボールが届くと、約束通り柳澤が出て行って対応しますが、またしても江坂は柳澤の背後へ流れていきます。そして、またしても関根がチュセジョンの脇、髙尾の手前のスペースで前向きにボールを持って外の江坂へスルーパス。今度は江坂のクロスに対して大畑、小泉がニアでつぶれて中央に詰めた関根まで転がってきました。

シュートコースが甘くなって黒川にブロックされてしまいましたが、ここまで決定的なチャンスを再現出来ているのでこれは決めないといけないですね。

36'39~にはG大阪が前がかりになって行ってきたプレッシングを外して前進しかけます。G大阪は前向きな矢印を作りたいのにレアンドロペレイラがあまり動かない、あるいはどこかへ流れた後になかなか自分のポジションに戻らない、ということでそこが穴になって浦和が前進経路を見つけられていたという面が大いにあったと思います。

この場面もハーフレーンで関根が前を向く、柳澤の背後に江坂が抜け出すという形でしたが、今度は関根からのパスが柳澤に当たってしまってチャンスにはなりませんでした。


前半はレアンドロペレイラがふらーっと浦和の最終ラインに出ていくけど、どこかのコースを消しているわけではないので、周囲の選手が連動できず、ただ1枚外れただけという形になっていて、G大阪はほぼ5-4で守備をしていたような感じでした。

その時に左側へ展開できれば上述の通り、江坂もそこへ流れてきて柳澤、髙尾に対して大畑、関根、江坂で3v2になって誰かが浮くという状態が発生しますが、右に展開したときは小泉は中央に留まることがベースになっているので松崎と宮本が昌子と黒川にそのまま睨まれる形になりました。

そこに入る選手の個性が違うので、左右バランス良く同じようなやり方というのは難しいですが、右は宮本も松崎も少し高めにポジションを取ろうとする意識が高すぎた気がします。

そのため、右側から前進しようとしても宮本や松崎がパスを受けるときにはボールの移動中に相手に寄せられてしまう距離感のため、パスを出しても前を塞がれるか、そもそもボール保持者がパスを出すこと自体をやめるかというのが何度かありました。


40'05を例に見てみると、岩波の右で敦樹が下りて前向きにボールを受けます。この時に宮本が敦樹の脇へ降りようとしているところに黒川がついて行って、黒川の背後へ松崎が抜け出そうとしました。ただ、黒川はボールの移動中に宮本まで到達できる距離感でしたし、松崎も昌子についてこられていたので敦樹はパスを出すのをやめています。

もしかすると、岩波から敦樹へのパスが出た瞬間に宮本がスプリントで黒川から離れて手前に下りていたら敦樹からのパスを前向きな状態でもらうことが出来て、黒川の背後へ走った松崎を使ったり、松崎についていった昌子のいたスペースに関根あたりが走りこんだり、別の展開が出来たかもしれません。あくまでもたらればですが。

酒井も馬渡も自分が前向きにボールを受けるためにポジションを取り直すのが早いので、こういった部分をこれからどれだけ宮本が向上していけるのかで彼の序列も変わってくるのではないかと思います。狭いスペースで相手に寄せられてもボールが正確に扱えることが出来れば最高ですが、そうでなくても、相手から距離を取って落ち着いてボールを持てる状況を作れば、みんなある程度ボールを扱う能力があるわけですから。


ハーフタイムでお互いに選手交代を行いました。浦和の大畑→馬渡は神戸戦と同様に大畑のコンディションの問題が大きいのでしょう。そして、SHも関根が右、松崎が左に交換されていました。これは左側が全員右利きという状態だとピッチを広く使いにくいというのを気にしたのではないかと思いますが、10分くらい経ってからは関根が左、松崎が右に戻っていたので、何か別の意図があったけど上手くいかなかったのかもしれません。


ビルドアップの形としては前半は岩尾がCBの間に降りたり、敦樹が岩波の脇に降りたり、状況に応じてポジションを取るという感じでしたが、後半は敦樹が岩波の脇に降りて岩尾はへその位置にいる3-1の形をとる回数が増えました。

G大阪は前半で明らかに守備の穴にになっていたレアンドロペレイラを諦めて山見にスイッチし、浦和に何度も前進されていた柳澤のところも小野瀬に変更して、シャドーに石毛を入れることでプレッシングのやり方を整理しました。

後半はざっくり図にするとこんなイメージでしょうか。

解説の戸田さんも言及していましたが、浦和の方はあえて後ろを3にして相手にプレッシングさせておいて背後にスペースが開くことを狙ったのではないかと思います。これは昨年8月の広島戦や9月の横浜FC戦でも行った手段ですし、相手がプレッシングに来た時には早めに手前に引いて相手から距離を取ろうとしていたので、プレッシングがそのままハマるということは無かったかなと思います。

61'35~は敦樹がしっかり手前に引いて西川からボールを受け取ったところから宇佐美、黒川を引き出してその背後へボールを入れました。こぼれ球を回収すると逆サイドへ展開して一気にスピードアップしたのは意図した流れだったのではないかと思いますが、この場面は江坂のクロスの質が伴わずチャンスになりませんでした。

76'04~も相手のプレッシングを縦パス→レイオフ→縦パスで外して一気に前進しました。気持ちの良い場面だったので図にしておきます。


関根が髙尾と競争になりますが、髙尾にボールに触れられてシュートが打てず、馬渡がボールを拾って折り返したボールを江坂がシュートしますが抑えがきかず。最後までやりきるために走ってはいるのですが、ここでもゴールを決められませんでした。


80'10~は馬渡が自分についてきた小野瀬の背後へボールを出そうとしますが、これをカットされて火消しに入った岩尾が2枚目のイエローカードをもらってしまってしまいました。判定自体は妥当かなと思います。石毛との反応の速さ勝負に負けた結果、後から相手の足にタックルした形になってしまったのだろうと思います。

CHを失った最初のプレーで敦樹がサイドの攻防に加勢し、中盤中央が松崎一人になってしまったことでシュートを打たれることになりました。シュートのコース自体は大したこと無かったと思いますが、こういう時に限ってシュートブロックしたボールがゴールに入ってしまうのは不運というか。。

たらればを言うのであれば、10人になってしまったのならば、まずは小泉か江坂が中盤に落ちて4-4-1にすることでリカルドが交代策を打つまでの時間稼ぎが出来れば良かったのかもしれません。


失点後は昨年の槙野のようなイメージで、犬飼を前に入れてパワープレー大作戦を決行し、あわやPK?という場面もありましたが、ちょっと厳しかったですね。

3試合終わって勝ち点1というのは、ここまでの内容とは全くかけ離れた結果だろうと思います。優勝するために平均勝ち点2のペースにするというのが遠のいたのは事実ですが、だからといって「やっぱり今年はまだ難しかったんだねー」と言って早々に目標を取り下げる必要はないですよね。

昨シーズンの清水のドキュメンタリーでロティーナが「一番大事なプレーは何か?それは次のプレーだ」というようなことを言っていました。内容は間違いなく良くて、選手たちはゴールに向かって走っているし、そこに近づくことも出来ています。

結果が出ないから腹が立つし、もどかしいけど、じゃあ次の試合に勝つために何ができるか、次のプレーで状況が好転するために何を考えるか、そうして自分に矢印を向け続けることがこのオフに自分なりに考えた「浦和を背負う責任」だと思っています。逃げずに、やるしか無いです。

【雑談】中動態の世界から見た「浦和を背負う責任」

手前味噌ですが割と自分の言い回しを気に入っているので改めて。



浦和レッズについて考えたこと

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