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【雑感】2022/4/27 浦和vsライオン・シティ・セーラーズ(ACL GS-MD5)

マッチレビュー

ゆうき
ゆうき

2022.04.30


本記事はゆうきさんがご自身のnoteで連載中の記事になります。

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2位以上を確保することと、2位だとしても他グループの2位よりも優位に立つことという2点をきちんと達成できたので、この試合の結果については文句なしではないでしょうか。

セーラーズの5-4-1は、特に中盤4枚の横幅がコンパクトにはなっていたものの、5バックがなかなかラインを上げられずにスペースが出来ていたり、横のスライドが追いつかない場所が多かったりと、大邱の5-4-1と比べると浦和が使えるスペースは多かったと思います。

ビルドアップでは明本、馬渡のどちらかが後ろに残ってスタートしたり、平野がCB間に入ったり、特に形は固定していませんでしたが、大まかな役割としてはショルツと岩波の2枚+へその位置に平野というのをベースにして、右は外がモーベルグ、内が馬渡、左は外が明本、内が関根、CFにシャルクで小泉がセーラーズの中盤4枚どこかのゲートでボールを受けてターンする、柴戸は平野の左側をベースにしつつネガトラで前向きにアクションを起こすといったイメージだったかと思います。


相手の中盤ラインより前にいる小泉以外の選手たちは各所で裏のスペースを狙う素振りを見せていて、それによってセーラーズの5バックはなかなかラインを上げられず、大邱のようなコンパクトさは作れませんでした。

小泉はライン間というよりはセーラーズの中盤の選手に近い位置(どこかのゲート付近)にいることが多かったですが、彼はパスの出し手から遠い方の足を広げながらボールを受けてその勢いを借りてターンすることが多いので、最初からライン間にいるよりも、ターンした結果ライン間で前を向いた状態になることを意識したのかなと思います。


個人のアクションで言うと、平野についてもトラップする時のステップワークというか、ちょっとした身のこなしも非常に良かったですね。図では表しにくいのですが、34'25あたりの相手CFの背後で自分より左にいる柴戸からの横パスを受ける時に数歩下がることで相手の中盤から距離を取りつつ、足元にピタッと止めながら顔が上がって前向きな状態を作れていました。

足元からボールを離さず、なおかつ顔を上げて周りを見ながらボールを運んでから脇に出てきたショルツへしっかりとボールをつけたのは流石です。顔が上がっているから相手はむやみに飛び込めないし、ボールをしっかり持つことで相手の注意を引き付けることも出来ています。時間があったらそのシーンだけ見てみてください。

ここまでの話を図にすると以下のような感じ。


WBがモーベルグに対して内にも外にもついていく傾向にあって、モーベルグと場所を被らないレーンでプレーする馬渡はフリーでボールをもらえる回数が多かったですね。先制点の場面は二人とも内レーンでしたが、WBがモーベルグに対応するために前に出た背後を馬渡が取ってシュートを放ちました。

コース自体は甘かったのでラッキーと言えばラッキーですが、相手の傾向をしっかりと利用してシュートチャンスを作ったことで生まれたゴールでしたし、大邱との2試合では出来なかった早い時間にゴールを取って気持ちを楽にするということが出来たのはとても良かったですね。


1点取ってからも決定機はあったのですが、逆にPA付近でガチャガチャっとしたところからシャルクのゴールが入りました。他にもっと入りそうな場面があったのにこっちは入るんかい!という感じですが、1点差ではなく2点差で前半を折り返せたのは良かったですね。

1点差だとセーラーズの方も「まだなんとかなるぞ」という雰囲気になりそうなところですが、2点差になったのでセーラーズベンチがハーフタイムを待たずに慌てて交代をしたのかもしれません。あれは、なぜあのタイミングだったのでしょうか。。?


後半もセーラーズのスタンスは特に変化が無かったように思います。なので、前半と同じような攻め筋をそのまま継続できたのかなと。小泉が立て続けにアシスト&ゴールをしてくれて、これで一気に勝負がつきましたね。

この後に入った松尾は2ゴールという結果はもちろんですが、相手の背後というだけでなく、相手のゴールに向かってアクションを起こせていて、清水戦のようにSHで内に絞ったところからスタートするときはライン間で受けるのか裏へ抜けるのかはっきりしない印象でしたが、中央かつトップ下に小泉がいる状況でのプレーだったので相手ゴールに向かうということに集中しやすかったのかもしれません。

松崎もゼロから一気に加速して相手を外すドリブルが効果的でしたが、対5バックだと外からカットインしていくというのは、相手がいるところに突っ込んでいくことにもなるので決定的な場面は作りにくかったと思います。それでも、相手を引き付けることにはなっていたと思うので、そこで空いた味方を使ってチャンスを作れる回数をもっと増やせると良いなと思います。


前日会見の内容が少し気になった岩尾はこの試合ではちょっと物足りないなという印象でした。というよりは平野と比べられてしまう形になってしまったので、その違いが分かりやすかったという言い方の方が良いかもしれません。

68'50~のビルドアップで岩尾がCFの近くにいて、ショルツが右から運んでいく場面を観返してみます。

68'50に岩波からショルツにパスが渡るのですが、この時に岩尾はボールに合わせてゆっくり右へ動きます。ショルツの前は広くはないですが空いたままですし、馬渡が内から外へ逃げて行ったことで相手SHを外に広げることは出来ているのですが、岩波→ショルツのパスで岩尾がCFの背後から動いたこともあってショルツへCFがそのまま寄せて行っています。

ショルツがスーパーマンなので、相手に寄せられても気にせずに進んだ上にズバッと松崎への縦パスまで出せてしまっているので問題ないと言えば問題ないのですが、平野は同じような状況の時にCFのすぐ近くで止まって相手の意識を引き付けようとすることが多いです。

相手から離れることでパスを受けられる状況は作れるのですが、それによって自分を意識している相手が別の選手へ意識を向けることが出来るとも言えます。結果論ではありますが、この場面では岩尾がCFから離れたことで、CFはショルツの方へ意識を向けられたとも言えそうです。

ボール保持者が相手に近づかれるということは、その選手はボールを離さなければいけなくなる、あるいはその場から動かないといけなくなる、ということでこの場面のようにプレーが加速しやすくなります。ショルツは横から寄せられているので縦方向にしか選択肢を持ちにくい状況になっていて、結果的にそこからスピードアップしています。

リーグ戦での浦和のプレーテンポの慌ただしさはプレッシング志向の相手が増えたということもありますが、ボールを持っていない選手が相手選手を引き付けられていないという面もあると言えそうです。


例えばこの場面で岩尾が相手CFに近い場所に留まっていたらどうなるでしょうか?

図はかなりシンプルにしましたが、ショルツが運ぶところを誰がケアするのか問題を引き起こせたり、馬渡がSHとCHのゲートに顔を出してレイオフで岩尾に落として前向きな状態を作れたり、ショルツのところで一旦止まって全体のポジション取り直しの時間を作れたり、色々選択肢が出来そうです。

結果論で殴りかかっていることは重々承知ですし、ボールを受けない状態でも相手と駆け引きできる上手さは平野が突出しているので、そこと比べてしまうのはどうかとも思いますが、前日会見で岩尾本人が話していた通り、まだ自分がどう振舞うべきなのか整理しきれていないのかなと感じた場面だったので、ここを切り取りました。


超過密日程もあと1試合。ここまで多くの選手は起用しているものの出場時間には結構バラつきがありますし、最終戦は山東が4位で確定しているということもあってGS突破に向けては消化試合のような位置づけになるかと思うので、再び大幅なメンバー変更があるかもしれませんね。

知念、安居はMD2では魅力の片鱗しかまだ見せていないと思うので彼らの出番を期待したいですし、ここまでベンチにも入れていない木原や工藤にもチャンスが来ると良いなと淡い期待をしています。

今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。


浦和レッズについて考えたこと

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